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「健やかな暮らし」を実現する新たなアイディア創出へ。令和7年度ワーキンググループDAY5にて共創プロジェクトプレゼン実施。

  • 執筆者の写真: Smart City Nagano Smart City Nagano
    Smart City Nagano Smart City Nagano
  • 23 時間前
  • 読了時間: 10分

更新日:22 分前

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令和7年度NASCワーキンググループでは、「Nagano Fusion Innovation Lab(通称NFIL)」と称し、「健やかな暮らし」の実現を目指す新たなアイディア創出に取り組んできました。

DAY5では、約5ヶ月間にわたるプログラムの集大成として、「長野で自分らしく健康に暮らし続けるために、デジタルや新技術を活用した事業共創プロジェクト」の最終発表が行われました。


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プレゼン発表


DAY5の最終発表では、6チームが「共創の実践プロジェクト」の提案を行いました。

この発表は、構想の実現に向けて「自らアクション」を継続し、事業展開していくことを目的としています。

 

チームA:「食歴シナプス プロジェクト」— 里山文化と現代ニーズをつなぐ食体験 (食×健やか)

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チームAからは、食×健やかという視点で共創したソリューションとして、神経細胞間の“シナプス”のように、信州の里山文化と現代のニーズをつなぐプラットフォームの構築が提案されました。



課題背景


子育て世帯は自然や食文化との「本物の体験」を求めている一方で、休日は「いつもの場所で過ごしてしまう」というように理想と現実との間にギャップがあります。このギャップが、子どもたちの探究心を育む「学びある体験機会の不足」という課題となっていることから、神経細胞間のシナプスのように、信州の里山文化と現代のニーズをつなぐプラットフォームを構築することによる課題の解消を目指しました。


内容


本プロジェクトでは、月毎のサブスクリプションによる信州の食材や季節行事をテーマとした体験プログラム、食材、学びのコンテンツなどを提供します。具体的な事例として、生ハム仕込み体験、味噌づくり、山菜・タケノコ獲りなどが挙げられており、動画サイトよりも楽しい“リアルな学び”を家庭に継続的に提供することで、心身及び家族の健やかさの実現を目指しています。ビジネスモデルとしては、初期ターゲットである経験重視の子育て層からのサブスク料金に加え、地域に根差した企業を対象としたスポンサー料金を安定収益の柱とします。これにより、サービスの利用者だけではなく、企業側に対しても地域への愛着醸成やSDGs・CSR活動への貢献といった価値を提供していきます。



チームB:「週末ファーマー」— 持続的農業を担保する農業者ピラミッド構築(食・農×健やか)


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チームBからは、農業業界の持続を担保する「農業者ピラミッド」の構築が提案されました。

 


課題背景


長野市の農業分野においても就農者数が減少しており、近い将来に農業従事者が居なくなってしまう恐れがあるという危機感を課題として捉えました。この農業の持続性に関する危機感を解決するため、カジュアルな農業関心層からプロ就農者までを段階的に育成し、業界を支える「農業者ピラミッド」の構築が提案されました。幅広い農業関心層がプロ農家を支えることで、農業を健全に継続できる構造を目指しています。


内容


提案された農業者ピラミッドは、農業に関心があるカジュアル層(農業関心者)が、セミプロ(Buff)、就農希望者(Aspire)を経て、プロ農家(Skilled)へと段階的にスキルアップできる構造の構築を目指します。サービス内容としては、週末のみ農業に従事する週末ファーマーを主な対象とし、農地の一部利用権の提供、栽培に必要な設備や資材の提供、専門的な技術指導などを含みます。さらに、栽培物の販売または買取など、収益化につながるサポートなども数多く用意しています。本プロジェクトは、農作業における適度な運動を促進するだけでなく、共通体験やコミュニティ参加による「繋がっている」感覚の獲得を通じて孤立感を解消し、健康寿命の延伸に貢献するなどの副次的な効果も期待されるものになります。


チームC:「走って歩いて健康ながの」— ながのRUNベースの設置(スポーツ×健やか)


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チームCからは、ランニングステーションを核とした「ながのRUNベースの設置」が提案されました。

 


課題背景


長野市民の82.6%が運動不足を感じているように、運動不足の解消方法としてのウォーキングやランニングへのニーズは非常に高いにもかかわらず、運動を始める際のハードルが高くなかなか始められないという課題がありました。その主な要因として、外で運動する際に必要となる更衣室や荷物預かりといった「拠点となるスタート地点がない」ことと捉えました。


内容


ランニングステーションで提供するサービスとして、ランニング前後の荷物預かり、シャワーや入浴設備の設置及びレンタル品の貸し出しなどを行います。また、この施設は、単に更衣を行うための設備として機能するだけでなく、健康関連事業、各種イベントなどを通じて、「健康」「人の交流」「地域活性」の三つをつなぐ“まちのエンジン”となることを目指しています。ビジネスモデルにおいては、長野駅周辺への拠点の新規建設を避け、既存のホテルや入浴施設との連携によるコストの抑制を目指します。この取組みを通じて、「長野=走って歩いて健康」というブランドの確立と、長野市が掲げる「ながの健やかプラン 21」の実現への貢献を目指します。



チームD:「NAGANO LONGEVITY VALLEY」— ケア・リングプロジェクト(医療・介護×健やか)

 

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チームDからは、「Longevity(健康的に長生きして人生を楽しむこと)」の意識を長野市全体で高め、長野市を「Longevity世界一の都市」にするため、「NAGANO LONGEVITY VALLEY」の構想について提案がありました。


 

課題背景


長野市は、65歳以上の人口割合が31.1%(約11.2万人)に上り、これは全国平均を大きく上回る高齢化が急速に進展している地域です。そこに住む市民には、「自ら安心・健康に暮らし続ける」ための環境構築が急務であるという危機感があります。この現状に対応するため、「Longevity(健康的に長生きして人生を楽しむこと)」の意識を市全体で高め、「Longevity世界一の都市」を目指すことが必要ではないかと捉えました。



内容


提案された「NAGANO LONGEVITY VALLEY」構想の核となるのが「ケア・リング事業」です。この事業は、長野市民および市内の企業がLongevityの意識を持ち、具体的な行動を促進することを目的としています。事業内容としては「もの(Longevity製品の開発や市民の行動実態把握による実証モデル)」と「サービス(専門的な体験・セミナーなどのLongevity意識を高めるプログラム提供)」の両面を提供します。特に重要なのは、市民や高齢者が「ケア・リング 市民サポーター」として企業の研究や実証事業に参加し、ウェアラブルデバイス等を用いて見えない健康を可視化することにより、地域全体で支え合う仕組みを構築することです。これらの取組を連携させることにより、産官学医(企業、行政、大学・研究機関、医療・福祉機関)の協力体制を構築し、市民データを軸にそれぞれの強みを活かす「多主体持続型ファンドモデル」の確立を目指します。



チームE:「共育健やかラボ」— 職場も家庭も、脱ワンオペ(子育て×健やか)


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チームEからは、「職場も家庭も、脱ワンオペ。『共に育てる』に取り組める長野」の実現を目指し、「共育(ともいく)健やかラボ」が提案されました。

 

課題背景


本プロジェクトでは、子育て中の親の約7割が孤独感を、約6割が心理的負担を感じている現状に着目し、特に、育休中の従業員が抱える孤独感や、仕事とキャリアの両立に対する不安が大きな課題であると捉えました。この課題を解決し、「職場も家庭も、ワンオペから脱却し、『共に育てる』に取り組める長野」の実現を目指して、「共育健やかラボ」が提案されました。



内容


サービス内容としては、育休中の従業員がつながる場を提供するために交流イベントを実施し、コミュニティ形成を支援します。イベントでは、育児支援ワークショップ、対話セッション、若手や同僚も交えた夕食イベント、子育て防災イベントなどを行い、育休者だけでなく、子育てを控える従業員や同僚の育休への理解を促進することにより、企業全体で育児を支える環境の整備を目指します。ビジネスモデルとしては、地域の複数企業(ミールケア、長野都市ガス、マルイチ産商など)からのスポンサーシップによる資金提供を核とし、共同開催により小規模事業者も参加しやすい持続可能な運営を目指します。将来的には、育休者と企業をつなぐプラットフォームを構築し、メンタルチェックや福利厚生制度の改善提案など、データ活用によるサポートを強化することで、社会全体で育児を支える環境の整備を目指します。

 

 

 

チームF:「ぎゅっとりっぷ ながの」— 長野市観光ワンストップ・プラットフォーム事業(観光×健やか)


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チームFからは、「健やか×観光」をテーマに、長野市を訪れる観光客が「心と身体の健やか」を維持できるよう、旅行のストレスを減らすための「長野市観光ワンストップ・プラットフォーム事業:ぎゅっとりっぷ ながの」が提案されました

 

課題背景


長野市を訪れる観光客にとって、「荷物」は旅行の大きなストレス要因の一つです。本プロジェクトは、荷物が多いことが原因で、長野市が観光客にとって「観光地」ではなく「通過点」になってしまうという課題感から着想を得ています。手荷物にまつわるストレスを軽減することで、観光客が「心と身体の健やか」を維持できる、快適な旅行体験の提供を目指します。



内容


提案されたのは、旅行のストレスを減らすために既存の市内の観光に資するサービスをデジタルで「タブレットオーダーのように」ワンストップで利用できるプラットフォームを構築するプロジェクトです。メインサービスとして、駅、百貨店、宿泊施設と連携した手荷物預かりや、宿泊先・観光地への手荷物配送を提供し、観光客が身軽に動けるようにします。また、サブサービスとして、マイクロバスの市内循環運行、多言語対応ガイド、混雑状況の可視化、アクティビティ予約などを行います。さらには、決済方法の一元化、マルチ言語対応、チャットボットによるデジタルコンシェルジュ機能も搭載し、圧倒的に便利なUX(ユーザー体験)を実現し、観光客にストレスフリーな旅行を体験してもらうことを目指します。「地域観光DX」として行政と民間の連携も視野に入れ、「世界から長野市をスルーさせません」という強いメッセージを込めています。

 


ゲストコメント


各チームからの発表の後には、ゲストコメンテーターとして参加した株式会社八十二銀行営業渉外部の掛川直斗氏、長野市経済産業振興部長の峯村賢氏、SUNDRED株式会社代表取締役の留目真伸氏から、ビジネス的観点や注目するポイントなどに関する実践的なフィードバックが提供されました。

 

また、プロジェクトを成功させる秘訣として、「まず動き、あとで整える(Action-first)」という原則が示され、最初から100点の企画を目指すよりも、まずは60点のプロトタイプを動かすことが重要であるということが紹介されました。

さらに、成果そのものよりも、成果より”関係性資本”を蓄積すること、すなわち「次を生む関係」が成功にとって重要であるというコメントもありました。


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開催後の参加者の声


開催後、参加者からは、「普段関わることがない異業種との連携により視野・視座が広がった」、「共創事業の創出方法について、実践をとおして学ぶことができた」、「事業化を実践する意識が向上した」などの感想のほか、

「自社内での共有はもちろんですが、自社ではできない課題解決や今後アクションしたい内容、また当社の強みを活かせる内容について、NASCを通じて外部と共創していきたい。」

「事業を1から作り上げることが初めての経験でしたので、難しさと楽しさを感じることができました。」

「今立ち上げている新事業に活かしたい」

「アイディアで終わらせず、必ず形にしたい」

 との声がありました。

 

この5か月間という短い期間の中で、プログラムに沿った共創プロジェクトの組成のほかにも、自主的な活動としての大学や企業間同士のコラボレーションが起きており、NFILが関係性創りのきっかけとなっていることも窺えます。

年々、企業における地域課題への関心も高まり、行政連携などの希望も高まってきていることからも引き続き活動の深化も求められているようです。

 

 

 

今後のNASC活動について


NASC事務局では、DAY5で構想された共創の実践プロジェクトが、単なるアイディアで終わらず、実現に向けて自走できるよう継続的なサポートを実施しております。

具体的なアクションをサポートするため、壁打ち(アイディア検討)ヒアリング・仲間集めの繋ぎ込み各種補助金活用のための情報提供打合せスペースの提供なども行いますので、必要な方は、事務局までご連絡をお願いします。

 

これまでのNASCの取組みの中で提案された様々なプロジェクトは、オープンイノベーションの考え方を理解し、熱意を持って進めることで、実現に向けた可能性が開けていきます。

NFILで得られた様々な人と人とのつながりが基点となり、こうした活動が一層盛んになれば、地域経済の活性化につながっていくはずです。


参加された皆さんからの「アイディアで終わらせず、必ず事業化したい」という強い想いを原動力として、長野市の「健やかな暮らし」に向けた取組が広まっていくことを祈念しています。

 

 
 
 

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